石けん作りはオイルや香料、色材、オプショナル素材と数えきれないほどの材料の中から選択する必要がある上、それぞれの使用量の算出の手間もあります。面倒だと感じる人も多いでしょうが、選択肢が多いからこそ、自分だけのオリジナル石けんを作るチャンスでもあります。
目次
オイル(油脂)の種類と配分
石けん作りで最も重要になるのが、基本材料であるオイルの種類と配分の決定です。どのようなオイルをどの配分で使用するかによって、石けんの使い心地や泡立ち、効能、固さが決まります。初心者であれば、石けん材料店のオイルミックスを試してもいいですが、主要なオイルの特性や使い心地は少しずつでもいいので覚えていきましょう。石けん作りをする上で非常に役に立ちます。
ブレンドオイルの場合、オイルそれぞれの配分を決める必要があるのですが、保湿オイル40%、泡立ちを出すオイル20%、硬さを出すオイル30%、肌に良いオイル10%、といったように、重点を置く石けんの性質ごとに割合を考えます。オイル配分が決まったら、オイル全体量から、オイルそれぞれの使用量を算出します。
例)全体量500gで、オリーブオイルを40%使用する場合
500g x 0.4 = 200g
オリーブオイル使用量200g
使用水分と量の算出
オイル配分と使用量が決まったら、苛性ソーダと混ぜる水分量の算出をします。苛性ソーダと混ぜる水分は、ミネラルウォーターや水道水の使用は避けましょう。ミネラルウォーターは銅や鉄、マンガン、クロムなどの金属を含むため、触媒となり油脂の酸化を促します。水道水も少なからずミネラルを含むため、ミネラル分を含まない精製水の使用が良質な石けんを作る上で最も適しています。また、水分は100%または半量をハーブティーに置き換えることも可能です。アルコール類や乳製品を使用する場合は、3分の1から半量のみ置き換え、トレース後に置き換え量をしっかり混ぜ込むと失敗がありません。この場合、苛性ソーダと混ぜる精製水の量は、全体の水分量からアルコール類や乳製品の置き換え分を差し引いた量になります。通常よりも少ない水分量でオイルと混ぜるため、トレースが出るのは少し遅めですが、しっかり混ぜましょう。
水分量は「オイル72:水分28」の割合で算出します。
例)オイル500gの場合
500 ÷ 72 x 28 = 194.44g
水分量194.44g
半量を別の水分に置き換える場合は、194..44gの半量である97.22gを精製水、残り97.22 gを別の水分に置き換えると良いでしょう。
苛性ソーダ量の算出
苛性ソーダは基本材料となる各オイル(油脂)の鹸化値によって使用量が異なります。鹸化値表から使用するオイルそれぞれの鹸化値を参照し、その合計量を水分と混ぜて苛性ソーダ水を作ります。
例)オイルの鹸化値(表参照)
オリーブオイル 0.136
パームオイル 0.145
ココナッツオイル 0.184
苛性ソーダ量の算出
オリーブオイル 300g x 0.136 = 40.80g
パームオイル 100g x 0.145 = 14.50g
ココナッツオイル 100g x 0.184 = 18.40g
苛性ソーダ総量73.70g
香りやオプショナル素材
オプショナル素材は、使用材料を選択する上で、基本オイルの次に重要になります。石けんの見た目やデザインには色材、デザインや見た目と繋がるイメージを作り出すのが香料、そして、その石けんのメイン特色を左右するのがオプショナル素材です。オプショナルを加えない基本オイルの特性だけを活かしたシンプルな石けんもいいですが、オプショナル素材を加えることで、出来上がる石けんの魅力はぐんと増します。
オプショナル素材を入れ過ぎると、トレースがなかなか出なかったり、分離してしまったりと失敗の元にも繋がるため、香料は全体量の上限2%までを厳守し、その他オプショナル素材を決める際にも石けんのテーマを一つ決め、そのテーマに特化した素材を1~2種類加えるのが良いでしょう。