キャノーラ油と聞いて気を付けていただきたいのがその種類。菜種油とも言いますが、厳密にいうとキャノーラ油は「心臓疾患の原因となる」と言われた菜種油を改善するために、品種改良した菜種のから作られたものです。
調理用としてよく使われるこのキャノーラ油、手作り石けんには使えるのでしょうか。
そこで、キャノーラ油を手作り石けんの材料として使用するときの効果と注意点についてご説明します。
キャノーラ油の効果
一般に販売されているキャノーラ油はオレイン酸64%、リノール酸19%、リノレン酸9%といった構成です。
このキャノーラ油の良いところは、とにかく安価で手に入りやすい、というところです。揚げ物用の油としてご家庭にお持ちのかたも多いのではないでしょうか。
手作り石けんの材料としては、さらにオレイン酸の比率を上げたハイオレイックタイプのほうが使いやすいと言えるでしょう。
「スーパーキャノーラ油」というような名前で販売されており、オレイン酸含有量を80%近くまで上げた品種になります。
ちなみに、従来の菜種油はキャノーラ油よりもオレイン酸比率は低くなっています。
キャノーラ油のデメリット
キャノーラ油の手作り石けんの材料としてのデメリットは、酸化しやすく、トレースに時間がかかって固まりにくいということです。
正直、手作り石けんの材料として、あまりおススメできないオイルです。
キャノーラ油に含まれるα―リノレン酸は、食用として健康に非常に良いことがわかってきましたが、このα―リノレン酸、熱に非常に弱いところがあります。
低温で作る手作り石けんであっても、40~50度の温度で混ぜ合わせますが、α―リノレン酸はこの温度でも破壊されてしまう可能性があります。
さらに、キャノーラ油はその品質にばらつきがあり、溶剤抽出法で作られたキャノーラ油はトレース後ほとんど固まらず、手作り石けんには不向きでしょう。
一番搾りやハイオレイックタイプのキャノーラ油は手作り石けんの材料としては合格点を出せますが、今度は値段が高くなります。
しかし、「安い」以外に大きな特徴がないキャノーラ油、そうなると最近安価で購入できるようになった、オレイン酸が最も多いオイルの一つであるオリーブオイルのほうが良い、という話になってしまいます。
キャノーラ油の鹸化価
キャノーラ油の鹸化価は一般的に販売されているもので、苛性ソーダで133、苛性カリで187です。
どのような場面で使うと効果的か
キャノーラ油は食用に開発されたオイルですので、あまり手作り石けんには向きません。
それでも安いから使いたい、という場合は、パームオイルやみつろうなどの固形化を促すオイルなどと混ぜて使いましょう。
しかし、やはりキャノーラ油の最も効果的な使い方は、揚げ物です。
素直にから揚げに使いましょう、キャノーラ油
石けんを手作りしていくと、「あれも使ってみたい」「これも使ってみたい」と欲張りになってしまいがち。
しかし、適材適所というように、オイルにも向き不向きがあります。
せっかく石けんを手作りするなら、もっと効能の高いオイルがあるはずです。
そして、キャノーラ油ももっと活躍できる場で使ってあげてください。その場所は、おそらくキッチンの揚げ物用の鍋の中でしょう。